【唯一無二!大人気ベーグルに学ぶビジネスのキホン~安くてウマいは正義~】
こんにちは、推しごと調査隊のひろりんです。
「粉もの商売は儲かる」って、本当かしら?実際、一般的な飲食店の原価率が約30%とされる中で、パンの原価率は10%程度。そんな話を小耳に挟んで「パン屋さんって儲かるんだなー」なんて印象を持っている方は案外、多いのではないでしょうか。
しかし、実際は食材や製法へのこだわり、人件費等々を含めば一概に「儲かる」とは言い切れません。そもそも、お店を経営していくには新規顧客やリピーターの獲得、話題性や独自性、コストカットなどやるべきことは山積み…。
多かれ少なかれ、どんな業界の、どんな商材も、似たような悩みはつきものですよね。
今日は、そんなビジネス最前線の皆さんに、令和の時代を生き抜く個性的なパン屋さんをご紹介していきます。もしかしたら、商売のコツや秘訣が眠っているかもしれません!
目次
1.ビジネスヒントが眠る「ブランジェリーケン」(下赤塚)
少量の小麦で、大きく膨らむパン。株式会社矢野経済研究所によれば、コロナ禍の影響で一時、苦戦を強いられた国内パン市場も、数年後には約1兆6000万円にのぼると予測されている。
最近では、全国で巻き起こった高級食パンブームなど、まだまだ商機がありそうなパン業界。
ただし、パン屋を含む飲食店の廃業率は3年以内が70%、5年で80%、10年では90%以上と、他の業種に比べ最も廃業率が高く、生き残るのが難しい業界といわれている。
そんな世間の荒波をものともせず、創業より20年、オモウマい店、マツコの知らない世界などメディア出演・掲載実績多数、地元で愛されるパン屋があるらしい。
「そんな店、ビジネスヒントが転がっているに違いない…!」
これまでも度々、パン屋取材を敢行してきたパン大好き編集部。早速、東京は板橋区、下赤塚にあるブランジェリーケンに向かった。
お店は、東武東上線下赤塚駅付近から北に延びる赤塚中央通りという商店街の一角、やや古めかしい建物の1階にある。
店主の体調不良により、最近は曜日ごとのセールを中止しているとのことだったが、それでも時間帯によっては行列ができると噂の人気店。
今日は5月の土曜日、夕方17時を回った頃。人の列こそないが、ひっきりなしに出入りがあり4名以上の入店はNGとなっている。いや、これはNGというか、トレー持ってるし、種類豊富で迷っちゃうし、4名でも窮屈な具合なのでその覚悟で向かうべし!
店内は、……渋い佇まい。くすんだ色の床や壁、棚に使われた木材の年季具合はさすが20年の月日と歴史を感じさせる。
売れるごとに見えてくる……渋いショーケース。パンのカスも相まって、昨今の小洒落たパン屋のディスプレイとは一線を画す独特の空気感。
※我々が訪れた際には、半分以上売り切れていたので、テレビ取材を受けた際の画像を個人の方のブログからお借りします。
オープン時はこれでもかというほどパンが山積みになっていて、これはこれで美しさや清潔感とは無縁の様相だ。
楽しいけど、苦手な人は苦手かもしれない……。
今日、残っていたパンはピンク色や緑色をした一般的なパンの範囲内といえるものだったが、おもしろ系パンもあるようだ。
※写真はお店のHPから拝借しています。
どうやらカエルらしい、こうしたおもしろ系パンが気になる方は、ググって購入者さんたちの記録をご覧あれ~。最近の写真がないので、購入希望の皆さんはお店に問合せを。
さて、本日、お目当ての人気NO.1ベーグルがこちら☆
事前情報で「デカい」「ずっしり」「ボリューミー」とわかっちゃいたけど、実際にお店に足を運んでみないと感じられない重量感!か弱い女子の皆さんは、トレー片手にせいぜい2-3個が限度ではないかしら。
どうにかこうにか、各々、お目当てのパンを購入しレジへ。支払いは現金のみ。ちなみに今日は時間帯的に在庫一掃のためか、全品200円という破格で購入することができた。庶民にはありがたいお値段(号泣)!!
最後に、いつものパン屋さんで持ち帰る感じを想定していると、えらい目にあうので頑丈な手提げか、大容量リュックなどのご準備を。
2.採算度外視?!看板商品「ベーグル」とは?
見た目の派手さより、食べたい味優先でチョイスしてきたため、写真映えしない色合いのベーグルを選んできてしまった一同。即、反省会からの物撮りスタート。
こちら、明太もちチーズのベーグル。もちって餅だろう…ね?
せっかくなので、大きさを測ってみるといずれのベーグルも12センチ弱はありそうなサイズ感。
重さは400g 、なんなら500gを超えるものもざらにある様子。パン1斤よりはるかに重いって!
パンの中身、全容がわかるよう輪切りにしてみたところ、しずる感を失ってしまったのだが、丸っこい餅と明太子、チーズがパンに練り込まれていることがわかる。
明太子とチーズは表面だけなのかと油断していた私たち。トーストで焼き戻せば、外はカリカリ、中はふわ×モチ&餅な食感だ。
続いて、自家製のみそナッツとクリームチーズが入ったベーグル。意図したわけではなく、写真からの圧がすごい(笑)食が細い方は1つ食べられないかもしれない。
割ってみると、ゴロっと大きなクリームチーズ!
表面に塗られた甘辛い味噌の風味とナッツの食感、クリームチーズの酸味も交え、もう無限に食べられるよね、これは。
ベーグルのパン生地は、最近、増えてきたふわっとパン系のベーグルとは違い、王道のむっちり、弾力強めの食感。
それにしても、クリームチーズが出るわ出るわ。食べ進めていくほどにクリチが押し寄せてくる。
「惜しげもなく」とはまさにこのこと。採算合ってるのかな?と心配になってしまうぐらい、クリームチーズだらけのベーグル。
無計画にも、クリチ系ベーグルをもうひとつ買ってしまったので、食べきるのに一苦労したベリークリームチーズがこちら。
ベリーもクリチもたっぷり練り込まれているよぉ!
マリトッツォ張りの餡バターのベーグルや
春らしい、いちごを使ったデザートベーグル。
さくら餡を使ったベーグルなど、遅い時間でも選ぶ楽しさがある。
他にも、メロンパンやカレーパン、サンドイッチ、バゲット、カスクルート、レジ横にはスコーンなどもあるので、いっぱい食べられない方、冷凍庫に余裕のない方、遠方でなかなか訪問できない方は、味のバリエーションを考慮したパンのチョイスがおすすめです。
3.総評
口コミサイトを確認すると、店内の様子や衛生面に関するコメントが散見される。
だが、見た目のインパクト、楽しさは購入時のワクワク感をもたらし、採算度外視の具材量は食べる時の楽しさ、美味しさを追求しており、何よりこのご時世では考えられない価格帯は、お客様第一主義であること以外の何物でもない。
また、競合店が乱立するパン業界において、こうしたクセの強さはお店の優位性を担保しているはずである。
お店のリフォームや、ディスプレイ方法を変えれば確実に値段は跳ね上がり、ワクワク感は半減してしまうだろう。
察するに余りある、店主の想いが詰め込まれたブランジェリーケン。
少々の汚れや、衛生観念など、見えてこその意見。飲食店の裏側なんて、そんなものだ。
総評らしく、最後にネット上で見つけたとある方の取材記事をご紹介したい。
自由型の人生100 この世界を自分流のスタイルで泳いでゆく人々
LIFE.26
” パン工房ブランジェリー・ケン 田崎健一郎さん ”
(中略)
確かなことは言えないですけど、もともとがマニアックで凝り性な性格だから、なんでもハマるとその場その場で徹底的にやりますね。
小麦粉の研究所にいた時はあるメーカーのベーグルの納品の仕事をしていて、お客様に商品説明をするのに必要な知識だったので、徹底的に勉強したんです。パン屋になるつもりはまだなかったけど、逆にこの時の勉強が僕を後押ししてくれて、パン職人への道が拓けたのかもしれない。
大量生産のパン作りでは4種類くらいしか粉を使わないんですけど、僕は20種類の粉を使いわけることができます。パン会社でマニュアル通りのパン作りをするには邪魔な知識ですけど、 自分の裁量でパン作りができる今の僕にとっては大きな財産ですよね」
(中略)
今はベーグルやハード系のパンが人気だけど、オープン当時はそんなに売れなかったんですよ。
それをある時ブログで『ベーグルがおいしい』とほめていただいて、それを見たベーグル好きのお客さんが遠くからもどんどん来てくださって、主力商品となった。昔、別の所で雇われ店長をやってた頃は、売れ筋じゃない商品はすぐに引っ込めないといけなかったから、同じ感覚でやってたらベーグルは消えてたでしょうね。
でも僕にも『ベーグルやハード系のパンはイケる』という自負があったから、売れなくても作って売り続けた。数字やデータで売れ筋を調べるより、自分の感覚を信じた方が、長い目で見れば良い結果が出ると思ってます」
今日ご紹介したお店はこちら。
パン工房BOULANGERIE KEN(ブランジェリーケン)
住所
東京都板橋区赤塚2-2-17 東永地産ビル1F
TEL / FAX
03-5383-2216 / 03-5383-2216
営業時間
8:00~売切れ次第閉店
定休日
月・火曜日
アクセス
東武東上線「下赤塚」駅から徒歩約2分
東京メトロ有楽町線・副都心線「地下鉄赤塚」から徒歩約5分
以上、【唯一無二!大人気ベーグルに学ぶビジネスのキホン~安くてウマいは正義~】と題して板橋区にあるパン屋ブランジェリーケンにお邪魔しました。パン屋さんでワクワクしたい方はぜひ、お店に足を運んでいただきたいと思います。
こんな記事、読んでないで #仕事しろ
推しごと講座はまた、次回。お楽しみに!
おしまい