【パオン昭月】イマドキだけが正義じゃない!気取らない「普通」を貫く街のパン屋さん
推しごと講座
こんにちは、推しごと調査隊のひろりんです。
そろそろ皆さん、お気づきかと思いますが、我が編集部はパン屋巡りが大好きです。
手軽に1個から購入できて、主食にもデザートにもなる利便性たるや!
おまけに、パン屋さんってたいがいどこにでもあって、美味しさはもちろんのこと見た目の楽しさもあり、ある程度保存がきくという優秀な食べ物。
でも、これだけ数多あるパン屋業界で生き残っていくのって大変だと思いませんか?
人気のパン屋さんって、どこか特徴があってしかるべき……。
つまり、美味しいだけじゃ成り立たないパン屋さんはビジネスヒントが見つかる場所!
今日は、高級志向のパン屋さんがはびこる東京の一等地から、その立地的雰囲気からは一線を画す庶民的なパン屋さんをご紹介します。
パオン昭月へ行く(世田谷区駒沢)
高い素材を使えば、美味しい商品ができるのは当たり前。
物価が高い地域で、価格設定が高くなるのも当たり前。
そう考えていけば、高い素材を使い物価が高い地域で販売すると、商品価格が高騰するのは当然の成り行きだろう。
例えば、東京23区内には食パン1斤500円、クロワッサン1つで400円近いお値段がするパン屋さんが普通にある。もちろん、素材へのこだわりも相応に感じられるのだが、そうした事情を勘案して文字通り“商売”するだけでは、ビジネスは成り立たない。近隣の同業他店と渡り合うにはお店独自の味や見栄え、品質、価格など何かしらの付加価値が必要だろう。
そんなベーカリー激戦区世田谷で1946年創業、地元住民にも愛される老舗パン屋があるらしい。親子3代、約80年続くパン屋とは…?
お店の場所は、東急電鉄田園都市線 駒澤大学駅から徒歩9分という立地。駒沢公園から国道246号線を越え、駒沢公園通りを北上した交差点に突如現れる。
その名も「パオン昭月」
老舗らしく昭和レトロな外観。テントこそ緑色のクマさん柄に改修したようだが、お店自体は古く、ちょっとくすんだガラスの奥で人影がうごめいている。
アンパンマンのキャラクターたちが列をなし、大通りを傍観しているのがやや不気味。
なぜ、サザエさん通りの隣町でこんなにもアンパンマンを推しているのか…。
「その答えは、パンを買ってみればわかる!」ということで、ブリキの人形が待つ入口へ。
自動ドアを抜けるとタイムスリップしたかのような店内。昭和生まれには懐かしすぎる内装。
「こうしたインテリアを残すお店って、ただ古いだけじゃない何かがあるんだ!」なんて言いながら、所狭しと並べられたパンを物色。
「安ッすぅー!」
日頃、高いパンを見慣れてしまった我らに激刺さりするパンの数々。
しかも、ちゃんと大きい。最近のパンは、どうも、すました顔ばかりで見飽きたし「これで〇百円か…」なんて思っちゃって、買う気が起きない!
今日は、コッペパンをデザートにおかずパンをいくつかチョイスしよう。
白身魚サンドは、お店オリジナルの小袋に包まれていて可愛らしくて萌えるー!
色々なパンの種類があって、選ぶ楽しさでワクワクが止まらない。お手頃価格なのも嬉しい!!
童心に戻ったはずなのに、ポケットには大人の余裕を忍ばせた私たち。こんなラインナップ見せられたら、お腹に収まらない量、買っちゃうよねー♪
ハムカツサンドにカレーパンをゲットしお会計へ。
するとレジ前に認定証が……。
あれ、もしや…?!
アンパンマン公認アンパンマンを製造することが認められているお店。こちらでは過去にパンやクッキーが販売されているが、他にもそうしたお店がいくつもあるそう。ショーウィンドウにアンパンマンたちが並んでいるのも納得。
でも、アンパンマン認定店以上のウリは、5月初旬~10月限定の芸能人も御用達、生クリームあんぱん!十数年以上前からのロングセラー商品とのこと。作り続けているうちに人気に火が付き、今では朝のうちには完売する事前予約必須のパンらしい。
パオン昭月さんの「パオン」はフランス語で「孔雀(Paon)」。美しい羽を持つ孔雀は生命力が強く、末広がりで繁栄を象徴する鳥。象の「パオン」という鳴き声とは何ら関係ございません。
今回は、そんなメディアでも取り上げられる人気パンではなく、街のパン屋さんとして愛される理由、地元の皆さんが足繁く通う秘訣を探るべく惣菜パンからデザートパンまで購入してみた。
2.懐かしい!素朴な味わいの惣菜パン&ジューシーなコッペパン
まずはポテトサラダのサンドイッチ。
ツナを使った手作りのポテサラは、このサイズ&ボリューム感でお値段280円!見目麗しいサンドイッチは嫌いじゃないけど、やっぱりオーソドックスなサンドイッチに心がくすぐられちゃう。既視感あるパセリが、妙に懐かしくて良き。
マヨネーズが効いたポテサラは食パンにちょうどいいぐらいの味付け。パンは程良いきめの細かさでふわっとしていて、あふれんばかりのポテサラが、ぷにゅっとあふれる(笑)ポテサラに詰まった具材の食感も楽しいなー!
続いて、ハムカツサンド。
けっこう、ずっしり。
トンカツやメンチカツは定食でも食べるのに、ハムカツってそんなに出会えないので、つい手が伸びてしまったロールパンタイプのサンドイッチ。パンの蓋を開けてみると、お店特製ソースがかかったハムカツが贅沢に中心部で重なっている。
パンもハムカツも特別な美味しさ、というわけではないけれど、その特別じゃない感じが逆に美味しいという逆説的いや、普遍的な美味しさ。
続いて、カレーパン。
うーん、まだほんのり温かい。しあわせ♪
やや小ぶりだけど重さはあって、触った感じもしっかり系な印象。
お肉がゴロゴロとか、スパイス香るとか、わかりやすい特徴はないけど変に奇をてらってなくて好感が持てる味わい。辛さを抑えたカレーパンということで、玉ねぎペーストの甘みを感じるカレーがたっぷり楽しめる。
続いて、白身魚サンド。
「白身魚のフライって、無性に食べたくなる時ないー?」
ホキというタラ目マクルロヌス科の深海魚のフライに、タルタルソースがアクセント。
見た感じはまん丸でカワイイ気がするけど、その辺のぺちゃんこハンバーガーよりボリューミー。ソフトボールぐらいある直径のサンドイッチにかぶりついていく。食が細い方は、これ1つで十分お腹いっぱいになるかも。
本日の〆は、コッペパン、シナモンシュガータイプ。
この形状のこのサイズの揚げパンは、給食で食べた以来だなー!きっと、都内のパン屋さんでも揚げパンの類は売っているはずだけど、こぢんまりと品良くまとまった感じで全く興味をそそらないのね。
ひと口食べればジュワーっと油で揚げたパン特有の美味しさが広がる。パンにまぶされたはずの砂糖が口の周りに溶けずに留まって……。食べ進めながらも舌でぺろりと舐め取る、この二度オイシイ感じはもう、小学1年生のワタシだ。
高カロリーなのはわかっていて、でも「先生、おかわりー!」したくなる背徳感。
永遠に食べてられる( *´艸`)
ということで優勝は、コッペパン!!!
3.総評
今回はベーカリー激戦区世田谷でノスタルジックな雰囲気を残したパオン昭月に伺った。こちらのお店は地元でも有名店らしく、口コミサイトへの投稿や取材記事も多い。お店の長期的な存続を考えた時に、名物の生クリームあんぱんがあるのは強いが、それとて初めから大ヒットした商品ではなかったようだ。
(中略)
「店をしていると、兄弟や家族でも大変なことは多いですよ。商売はいいときばかりじゃないからね。でもやっぱり、選んだ道。みんなで試行錯誤しながらがんばってきました」
これは、スターツ出版が運営するOZmallで取り上げられた際の記事の中から、お店の方々の言葉を抜粋したもの。
記事のコメントの端々に、お店の味を守る企業努力の形跡や、そうして地域のパン屋として長く愛されてきた実績の重みを感じる。
ビジネスは思い通りにいかない。それでも、オリジナルな価値観を提供し続ける姿勢は事業の運営、継続には必須なのだろう。
今回ご紹介したお店はこちら。
住所
154-0012
東京都世田谷区駒沢2丁目18-11
定休日
日曜日
営業時間
7:00〜19:00
アクセス
駒沢大学駅から徒歩9分
電話番号
03-3421-4831
以上、【イマドキだけが正義じゃない!気取らない「普通」を貫く街のパン屋さん】と題して世田谷区にあるパン屋、パオン昭月さんにお邪魔してきました。昭和レトロを感じたい皆さんはぜひ、お店に足を運んでいただきたいと思います。
こんな記事、読んでないで #仕事しろ
推しごと講座はまた、次回。お楽しみに!
おしまい